「初乗りキロ410円実現へ 日本交通にタクシーの8割が歩調」、事業者にメリットは?
- KD
- 2016年7月5日
- 読了時間: 2分
東京23区と三鷹・武蔵野市でのタクシー運賃を引き下げる審査が開始される。先駆的な取り組みを続ける日本交通の申請内容に他社が同調した格好だ。東京のタクシーは「流し」が9割を占めており、短距離利用を中心とするタクシー会社にとっては収入減に直結する可能性が高い。
一方、短距離利用が多い高齢者や訪日外国人にとっての利便性は高まるとみられ、それが今回のルール変更の根拠となっている。過去に遡ると、97年に一部(日の丸交通など)でキロ340円に引き下げた実績がある。当時は、会社間の足並みが揃わず二重価格は5年で解消した。今回は営業地区全体で初乗り運賃が下がることになるため、前回のような混乱はないと見られている。
(意味合い)
ルールを変更すると副作用が必ず生じる。誰かが得をして、誰かが損をする。社会全体の厚生はどうか?今回の審査は、「高齢者・訪日外国人の利用拡大」と「短距離利用者への値下げによる減収」が天秤にかけられる。実績データを集計すれば事業収入のシミュレーションは容易であると思われるが、論点は安全面や環境への配慮などにも拡がりそうだ。また、訪日外国人数もこのままの勢いが続くとは限らない。
事業者も一枚岩ではないが、少なくとも消費者にとっては選択肢が増え、利便性は向上する。TPPに構図は似ている。もはや全プレイヤーが得をする制度・政策は存在しない。環境に柔軟に適応し、その中で最善を尽くしていくほかない。
(メモ)
・H25年3月事業者数 全国54,575社、東京16,808社、山梨151社
車両台数 全国243,247台、東京50,494台、山梨1,65台
人口1,000人当たり台数 全国1.91台、東京3.74台、山梨1.28台
・輸送人員は減少の一途;90年約32億人、00年25億人を切る、10年約16億人
・一方、車両台数は約25万台近辺で推移
Comments